今日読み終えた本。
東芝クレーマー事件 前屋毅
インターネットをお使いの方ならみなさん知っているんじゃないかというくらい、有名になった例の事件を、東芝側、Webを作ったAKKY氏の双方にインタビューをして、その経過を書き下ろした本です。
その事件は実はまだクローズしていないようなのですが(最近Webの方を見に行っていなかったので知らなかった...)、とにかく双方の主張が食い違っているというか、お互いがお互いにとっての「事実」しか見ていなくて、譲り合う、ということがないために、時間がたてばたつほど溝が深まっていく過程が見て取れます。
そういえば、今年は東芝はホント災難に見舞われていますね。西室社長が「集中と選択」を強く打ち出して、不採算部門をライバル企業に売り払ったりしていたのに、この件で一気にブランドイメージが下がってしまいました。しかも、米国ではフロッピーディスクコントローラの欠陥で、それこそ名うてのクレーマーに訴えられ、数千億の和解金を支払っていますね。
このFDCも、通常の使い方では再現せず、特別な負荷をかけた状況でしか起きないわけです。それでも、米国の慣習法上、問題が起こりうる可能性があるため敗訴の可能性が高い。そうなると数千億ではすまなくなるわけです。だから、それこそ「涙をのんで」和解金を払っています。
東芝は今リストラ敢行中で、かなりしんどいはずなのに、この和解金で数年分のノートPC部門の利益を吹っ飛ばしてます。ホント大丈夫なんでしょうか?また、この和解により、「悪しき前例」が出来てしまったのは非常に残念。アメリカでは、結構こういう企業の隙をついたクレーム集団(しかも中心は弁護士だったりするらしい)が非常に活発なので、本当に怖いですね。