『失われた龍の系譜』

MAXAM:失われた龍の系譜 TRACES OF A DRAGON トレース・オブ・ア・ドラゴン
『失われた龍の系譜』監督記者会見

先週、平日に早めにあがれたので、21時の回を観に行ってきた。正直、非常に良い“ドキュメンタリー”映画だった。

成龍の母親が病気で倒れたのをきっかけに、成龍に対して今までひた隠しにしてきた真実を、父親の口から語られる。その真実とは、実は成龍は一人っ子ではなく、両親は共に再婚であり、それぞれ男2人女2人の子供を大陸に残して、香港に渡ってきたのだった。

“中日”戦争や国共内線によって子供を置いて香港に逃げてきた二人は、香港で結婚し、成龍を生んだのだった。元々父親は国民党の工作員であり、そのため国を追われていたのだ。

この映画の主人公は成龍の父親。成龍、そして監督である張婉[女亭]はあくまでも聞き役。父親の語るストーリーは息子のサクセスストーリー以上にドラマティックでスケールの大きい物語だった。

しかし、この物語は、息子が世界的に有名な俳優だから表に出ただけで、父親と同世代の中国人には同じようなハードな人生を描いてきた人がたくさんいるのだろう。だからこそ、今回プライベートフィルムとして撮ったこの作品が、一般公開されることになったのだ。

しかし、今でも大陸ではこの手の政治的な話はタブーだし、関係親族が存命であることから、日本以外では非公開。香港でさえも。そういう意味では非常に貴重な作品。