李承晩大統領が不正選挙や大衆抑圧政策で弾劾され、朴正煕が大統領になるところから物語が始まる。
映画の中では一切名前は出てこないが、明らかに朴正煕政権時代。たまたま大統領官邸のある街で床屋のオヤジ(ソン・ガンホ)が、ひょんな事から大統領専任の床屋となる。それから12年ほどの間の床屋一家の時間を通じて、当時の一般庶民の生活を描いたモノ。
ちょっと前ならこんな視点の映画は世に出ることは出来なかったはず。そういう意味では韓国の民主化も前進中なのだと思う。しかし日本人にとって、80年以前、いやソウルオリンピック以前の韓国史、というのは未だに知られていないのではないですよね。日本史の授業では、ここら辺の現代史は割愛されることが多いし。
でも、80年代に入るまでの韓国は民主主義を謳いながらも実体は軍事政権下であり、一般庶民が自由に民主的に生きることが難しかった時代。それをソン・ガンホが非常に上手く演じています。
とはいえ、全体的にコメディなのか、ヒューマンなのか分からなくなるような構成でした。ヒューマンに仕上げるならコメディタッチなシーンは入れない方が良かったのに。おしいなぁ。