春江さんの、東欧3部作、全て読み終えました。『プラハの春』、『ベルリンの秋』に続く今回は舞台は1990年初頭、東欧の共産主義国家が崩壊しつつある時期のウィーン。ここを起点に、東京のカルト宗教集団、北朝鮮、中東のイスラム原理主義者に旧ソ連の武器商人が絡んで、物語が進んでいきます。
もちろん主人公は堀江亮介。が、50歳を越えた彼は外務省もリストラに遭って外郭団体へ片道出向、という境遇。ここから最後までどう繋がるのかと思いましたが、無事今回も一仕事終えてくれました。
が、正直今回は物足りない…。まず前作、前々作のような恋愛が絡むところがない。そのため単なるスパイ小説になってしまっている事が上げられます。やっぱりカテリーナやシルビアの様な魅力的なヒロインがいないと面白くない!
そして、過去2作は丁度現地へ旅行中に、もしくは旅行後に読んだため、そこに描写されている景色が思い浮かぶんですが、ウィーンはまだ未踏の地。ということで、イマイチ情景が思い浮かばず、感情移入しきれなかったのも原因です。
とはいえ、この作品だけ単体で読むには十分楽しいです。過去との繋がりも、読んでいなくてもまぁ問題ないし。
待ちきれずに単行本で買ってしまいましたが、文庫本まで待っても十分かと思います。