Amazon.co.jp:這い上がれない未来 Never-Climbing Society光文社ペーパーバックス: 本
『下流社会』と類似テーマの本です。僕の本の読み方として、興味を持ったことに対して数冊、まとめて読み下して、いろんな面から捉える傾向があります。そのためこの手の話題もこれで3冊目。
日本は既に800兆円以上の負債を抱えているが、まだ日本経済がしっかり回ってるから(自転車操業的に)なんとかもっているけど、経済のグローバル化によってまた景気が落ち込めば一気にデフォルト(破産)への道に突き進むという状態。この状況下で国民はどういう社会を目指すべきなのか、ということを書いた本です。
こちらは経済的な観点から日本人のロウアークラス化を説き、階級が固定化され、貧乏人は末代まで貧乏、金持ちは子々孫々反映しまくるという「格差社会」か、階級間の移動がある程度保証されており、本人の意欲次第で「いつでも」、「どの階級からでも」上に上がれる「真の格差社会」の、どちらかが日本の進むべき道か、という話をしています。当然筆者は後者を勧めています。ということで、ここのポイントは他の本と変わりません。
ちなみに、テレビ観ないからわかんないけど、テレビに出てくるいわゆる知識人の方々は、格差社会反対なんですかね。新聞の論調では、格差反対っていう印象がありますが。
ところで本日付の日経新聞で経団連の奥田会長の話が載っていましたが、そこには「共産主義じゃないのだから多少の格差はあって当然」「日本では成功者をねたみ、引きずり下ろす力が強いが、成功者を讃え、後に続く人々が生まれる文化が必要」「ベンチャーは失敗する確率が高いんだからそれを織り込んだ上、再起のチャンスを与える仕組みが必要」とありました。
今回読んだ本のポイントとも重なっているこういう発言を、財界トップから出てくるというのは良いことだと思います。あとはこの仕組みをどう落とし込んで実現可能にしていくか、というところでしょう。