『鷲の驕り』読了

Amazon.co.jp:鷲の驕り ノン・ポシェット: 本

龍の契り』に続く国際サスペンス小説。今回はアメリカを主な舞台とし、ダイアモンドと知的財産法を絡めたストーリー。この本が出た当時(1996年)はまだ知財法に関する重要性というのは少なくとも日本では一般的でなかったと思います。にもかかわらずメインテーマで扱っている時代性はさすが元ジャーナリスト、と思いました。

また書かれている内容が結構微妙で、非常に現実に近いことが、仮名に近い名前(法人・個人含む)書かれていて、分かる人にしかフィクション・ノンフィクションの境界線が分かる人にしか分からず、結構にやりとさせられるかも。

たとえば、文中の「ダイヤモンド・コンソリデーテッド」なる、ダイヤの販売機構、現実には中央販売機構(CSO)と呼ばれ、デ・ビアス社の元で世界のダイヤの50%をコントロールしています。チョット前までは90%以上シェアを握り、CSOを通さないとダイヤの流通は非常に難しかったようですが、小説のモチーフにも使われているように、冷戦崩壊後のロシアやカナダやオーストラリアからダイヤが独自ルートで出始めたため、2000年より価格維持政策を放棄し、シェアが落ちているようです。ダイヤが常に高値維持されているのは希少性ではなく、CSOによって値崩れを防ぐべく、供給と市場価格をコントロールしているからだったというのは、知る人ぞ知る事実。

細かいこと調べ直していたら、なんとTBSの『がっちりマンデー』のサイトに詳しく書かれてました。良い勉強になります。

そのほかにもスーパーハッカーのKevin Mitnickを思わせる、青年ハッカーが出てきたり、その彼の逮捕につながる協力をしたTsutomu Shimomuraを思わせる人物が事実上の主人公だったりと、ネタ元は分かりやすいのですが(笑)

ボリュームがある割にはさくさく読み進められるのでオススメです。