割引債と香港のプライベートバンクを使ったマネーロンダリング事件に関して取材したノンフィクション。
その手法自体は知ってる人は知っている、という手法。でも実行するのはそう簡単じゃないのと、実は本で読むほど把握が簡単ではない、という部分で、非常に面白く読めました。把握が難しいだけじゃなく、国をまたがった資金移動がからむ経済犯罪はそのルート解明も難しいし、各国でのルートに使われた金融機関も簡単には捜査協力してくれないので、この本で書かれている一大資金洗浄が裁判まで持って行けたのは相当希なケースのようです。
そして著者も驚いたという、手引きした行員の無罪判決、という結果。これは本当に驚きだし、法制度と実際の金融機関の運用実態が乖離していて、法整備を早く進めないと、日本においてマネーロンダリングという犯罪はこれからも増えこそすれ、減りはしないんだろうなと思いました。
平易な文章で書かれているのでこの手の話をあまり知らない人でも簡単に読める好著です。おすすめ。
平尾 武史 村井 正美
講談社 (2006/09/08)
売り上げランキング: 115200
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警察情報に頼りすぎ