6月2日にテレビ朝日系列で、木村佳乃主演の『テレサ・テン物語 〜私の家は山の向こう〜』が放映されます。その前までに読まなくては、と思って積読状態の本の山から出してきました。
母が好きで、家でよくかかっていたテレサ・テン。なんとなーく、アグネス・チャン的な歌手かと思っていましたが、さにあらず。
台湾で生まれ、日本だけじゃなくアジアの歌姫として活躍するにつれ、「中国人」としてのアイデンティティの確立と、祖国中国の体制に対する不満が募っていきます。その結果中国政府から厭われたり、民主化を支援していた矢先の1989年に天安門事件が起こり、ショックでステージに立つ気力を失ったりします。
そして失意の中、タイ・チェンマイのホテルにて亡くなってしまいます。
この本を読んでいて、純粋に歌が好きで、そして中国人であることを誇りに思っていたんだなと感じました。そして祖国の人々に自由を、と願っていたのでしょう。
華僑(海外在住の中国系の人々を華僑と言うことが多いけど実際にはそれなりの定義があり、全ての中国系の人々が当てはまるわけじゃないけど、ここでは便宜上十把一絡げに華僑と書きます)なら誰しもがこのような、自分の出自と祖国中国との間で揺れ動く気持ちがあるんじゃないかと思います。それは以前成龍(ジャッキー・チェン)の『失われた龍の系譜』を観たときの感想でもあります。
そういえば成龍といえば、テレサと一時期つき合っていました。成龍著の自伝に、3人だけロマンスの相手の名前を書いていました。1番目が初恋、3番目が奥さんである、結婚するまで台湾のトップ女優だった林鳳嬌。そして2番目がテレサでした。成龍にとってはそれだけ人生にインパクトを与えた、ということなんでしょう。
が、テレサのこの本は(本人著の自伝ではないものの)、成龍の名前は出てきません。彼とはロス時代に出逢い、短い間つき合っていたようですが…、なんだか成龍がちょっとかわいそう。
話が脱線しましたが。ドラマに期待です。録画忘れないようにしなくては。
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輝く人にも雌伏の時代があったのだ。
ジャッキー・チェンが好きなら買いの一冊