海外発の新潟大震災による柏崎原発への影響

Mayor orders shutdown of nuclear plant struck by quake in Japan - CNN.com
BBC NEWS | Asia-Pacific | Japanese fears over nuclear power

以上、CNNとBBSによる、新潟大震災による柏崎原発への影響のニュースです。日本の報道と論調が違うのが分かると思います。

といってもリンク先まで読む人はあまりいないだろうけど…。CNNのニュースについては『きっこの日記』にほぼ全文日本語訳がついていますのでそちらをどうぞ。

端的に言うと「地震大国の日本がアメリカ、フランスについて世界第三位の原発数、しかも安全を担保する運用・技術が今ひとつ、というのはおかしいのではないか」ということ。

日本の原子力行政は、経済が右肩上がりのイケイケの時代、1960年代に作られた青写真を元にしているものです。経済が右肩上がり、というのは電力需要も右肩上がりだったということ。しかし、現状の原発数は現在の日本の電力需要からいって多すぎます。

さらに日本は地震の発生地とされる活断層だらけで、各地の原発も活断層がすぐ近くを通っているケースが非常に多いのです。反原発派の調査によれば、活断層があるとされる場所も、原発を建てる段階で恣意的に「変更された」ケースもあり、実際には活断層の真上にある原発もある、という主張しています。

こんな記事もありました。朝日新聞より。

asahi.com:東電、活断層を見逃す? 79?85年、長さを過小評価 - 社会

恣意的に「変更した」か、恣意的に「見逃したか」どうかはともかく、今回の新潟大震災でも、「地震が起こっても何十ものセーフティネットがあるので、放射能が外部に流出することは無い」としている電力会社・政府側の説明が誤りであることが証明されています。

ところで、日本の電力の3割を原子力が担っている、という電力会社の説明は本当です。が、これは意図的に言っていない事実もあります。

原発は核反応の制御が難しいため、電力需要に合わせて簡単に出力を上げたり下げたりするのが非常に難しいのです。つまり、運転を開始したらメンテナンスなどの計画停止を除いて、動かしっぱなしなわけ。

原発を1960年代の計画に従って作ってしまった以上、止めておくわけにも行かないので、作った原発は全てフル稼働。そうすると、電力需要に合わせて総発電量を増減させるために、それまで主力だった火力発電・水力発電の出力を増減させて対応するしかないのです。

だから結果的に「日本の電力需要の3割を支える原子力」となるわけ。

CNNの記事で柏崎の人の意見として「東京の電力をまかなうために柏崎に原発を作るなんて。本当に安全なら東京のど真ん中に建てるべきだ」とありますが、鋭い指摘。原発はどこも政治・経済の中心である東京都から数百キロ離れた地方に建てられてます。これが意味するのは…わかりますよね。もちろん、送電先は東京なわけです。

この意見のとおり、本当に安全ならば、50万キロワット級の原発を山手線沿線のビルの地下に5つほど作って(Co2等の排ガスなどでないから地上に作る必要性は無い)、東京で消費したらいいんです。長距離送電はその途中で一部放電されるため送電ロスも生じるし、送電線や変電所の建築・設営、メンテナンスコストも下げられる。いいことずくめ。

本当に安全なら、ですが。

という話は、10年前に卒論で書きました。10年たっても原子力行政に変わりは無く、また国民に「知らしめず、寄らしめず」という電力会社・政府の態度も変わり無く。

もちろん、今更原発を全て廃止に、とは思いません。実は火力と水力だけでも現在の日本の電力需要を「ほぼ」まかなえます。しかし火力発電では化石燃料を外部資源に頼る事になるし、Co2等環境への負荷も高まります。

なので、どれか一つの方法を主電源とする、という極端な路線に走らず、様々なリスク要因を考慮しながら、原発も含めた複数の電源確保を行い、その最適化を行う、ということを改めて考える必要があるはずです。