値切るのはケチな証拠、ではありません

アジアの国々でモノを買うとき、値段交渉が必要な場合が多いです。香港でもそう。

ここで日本人、特に関東人は「値切るのはけちくさい、貧乏くさい」と考えて、相手の言い値で買うことがしばしばあるように思います。

が、値切るのは別にケチな証拠ではありません。売り手が提示してくる値段、というのは、日本で売られているモノ・サービスのような「適正な利潤を乗せた金額」ではないのです。希望小売価格、という意味では正しいのだけど、言い換えると「この位の値段もらえるとかなり儲かるし、出してくれる人もたまにいそうだな」的な価格なのです。

値切りまくって最初に提示された価格の何分の1になろうとも、売り手がOKした価格というのは、ちゃんと売り手も利益を確保した金額なのです。日本人がよく発想しがちな、「また買ってくてれるかもしれないから、もしくはお店の評判が良くなるかもしれないから、ここは赤字になっても売ってみよう」ということは、まずありません。買い手から赤字の金額を提示された場合、絶対売り手は売りません。なので、変に売り手の商売の心配をする必要はありません。

そもそも値段交渉は、売り手と買い手のコミュニケーションであり、透明な価格形成方法であります。売り手が利潤を確保しつつ、買い手が納得した金額で値段が決まるわけですから、一方的にどちらかが得するわけではなく、win-winなわけです。

むしろ価格が決まっていて値切り交渉無しのモノの方が、値段の決まり方が売り手が勝手に決めているようで不透明に感じられてしまいます(実際には各種調査やマーケティング戦略により、適正な価格になっていると考えるのが妥当なのですが)。

ということで、値段交渉で値切ることは悪いことではなく、売り手と買い手がお互いに納得して売買を行う、きわめて良い売買方法なのです。

しかしながら、時々いるんですが、買う気もないのに値段交渉して値切った上、実際に買わない、という人は大迷惑です。売り手の時間を無駄にしているわけですから。本気で怒られます。買う気がないなら最初から値段交渉はしない。買う気がある場合、どの金額なら納得して買えるのかあらかじめ考えた上で交渉に臨む、という姿勢が大事です。

こんなことを考えたのは、香港で母をフルアテンドしたため。お店でモノを買うとき、最初に提示された金額で購入をすぐにあきらめたり、もしくは日本で考えると安いからと、最初の金額で何も考えず即決したり、というのを目の当たりにしたため。交渉が面倒という気持ちも分からなくはないですが、これも旅先での思い出の一つ、くらいに考えて、値段交渉をするのが良いかと。

もちろん、旅先での時間にも限りがあるし、予定も決まっているし、という場合、最初の金額で「納得できる」ならその金額で即決というのもありだとは思いますが。