『ハゲタカ』シリーズで一躍人気作家になった、真山仁さんの小説です。今回の題材は地熱発電。
日本の電力は3割を原子力に頼っています。しかし外圧によってこの原子力発電を全面廃止というプランを検討せざるを得なくなった日本で、代替案として地熱発電を現状の0.5%から30%に引き上げる、というプランが始動されます。それを外資系投資ファンドマネージャーの視点から描いた本です。
僕自身大学の卒論で『原子力行政の是非』というタイトルで、反原発寄りの意見を書いたのですが、じゃあ原発を廃止する代案は?というところで、生活レベルを落とす以外なかなかうまい案が見つからず、説得力に欠けた卒論になってしまったと思っていました。
当然卒論を書いた10年以上前でも、天然資源エネルギー(太陽光発電や地熱発電)が次世代エネルギーとして考えられていましたが、効率やコストの面で太刀打ちできない、という電力会社の説明を鵜呑みにしていました。
しかしこの小説を読むと、地熱発電が必ずしも採算面でも原子力に劣るとは言えないということがわかります。小説とはいえここらへんはしっかり裏付けを取っているし、学生時代にかじった記憶からしても極端なフィクションではないことくらいはわかります。
日本では中々表立って語られることのない電力事情について、いい勉強になる好著だと思います。おすすめの小説です。
マグマ (朝日文庫 ま 27-1)
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真山 仁
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思いっきりフィクションプロジェクトX的な経済小説
ちょいと難しい。
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泣かせる経済小説