『ワイルド・スワン』で中国現代を生き抜いた家族の話を描いた張戎とその夫のジョン・ハリディによる、毛沢東伝です。
世界中で話題になった本なのですが、最近になってようやく読み終えました。ちなみに著者の張戎をWikiで調べてみると…日本語のページは開けますが中文はもちろん、英語のページも開けません。さすが中国です。当然この本も『ワイルド・スワン』も中文訳は一切出ていないし、今後も難しいでしょう。
ユン・チアン - Wikipedia
张戎 - Wikipedia
ついでに張戎と同じく、四川省出身かつ四川大学出身の友達に、この著者を知っているか聞いてみましたが、知らないと言われました。国内ではごく一部を除けば知られていないのでしょう。今の中国政府としてはそういう措置をするのも当然です。
この本に描かれている毛沢東は、これまで知られている毛沢東像を見事に壊してくれます。共産主義者の国家主席として中国の導いたのではなく、個人的な世界支配の野望から、徹底的に人民、そして彼の周りにいる側近達さえも弾圧し、恐怖政治を行った人物として描かれています。
そのことは既に『ワイルド・スワン』を読んだ感想と『中国がひた隠す毛沢東の真実』の感想でも書きました。が、『マオ』によれば、毛沢東の野望の大きさや残虐性は、文革以前、中国共産党成立の時点から芽吹いていたということ、そして中日戦争〜国共内戦、そして大躍進政策などでもその影響が見て取れることを描いています。
上下巻合わせて1,000ページほどの大作ですが、読み終えて、中国人民というのはなんと過酷な時代を生き抜いてきたのかと、何とも言えない気持ちになりました。もちろんこの本に書かれていることを全て鵜呑みには出来ないとは思います。それでも毛沢東主義・独裁政治によって、不要な迫害にあったり餓死した人民はあまりにも悲劇的です。
上述の四川省出身の友達からはたまに「日本人はなんで南京で罪のない人々を30万人以上殺したんだ?」等と問いかけられ、答えに困ることもあるのですが(詰問されてるわけじゃなく、お互い仲が良いから聞いてくるのですが)、毛沢東の同胞に対する非道さを訴えたくなりました。そんなコトはさすがに出来ませんが…。
この本の注釈、参考文献はそれだけで100ページ以上に及ぶため、本には記載されていません。その代わり、こちらから注釈、参考文献一覧をダウンロード出来ます。
この本持ってるだけで公安にしょっぴかれないか、読み終えてみてちょっと不安です(^^;。
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