李宁有限公司見学

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北京大学光华管理学院GISA主催の会社見学に参加してきました。参加するまでの間、同じ日程で別の企業を見に行くメールが来ていて、「どっちやねん」という混乱状況でしたが...さすが光华。多数クレームがついて、直前になって一本化されました。

見学先企業は李宁有限公司。日本人、だけじゃなく中国人以外にはほとんど知られていないと思いますが、それもそのはずで売り上げの99%は中国国内。スポーツウェア専業で、中国国内企業としてはトップ企業です。中国国内マーケットシェアとしてはNikeやadidas等外国勢に次いで3〜4位で、ワールドワイドのマーケットシェアは13〜14位あたりとのこと。

北京オリンピックの開会式を最後まで観ていた人ならもしかしたら気づくかもしれません。聖火ランナーのアンカーとして、空を飛んで鳥の巣の壁にある聖火台に火をつけた人物が、この企業の創業者、李宁(リ・ニン)なのです。過去オリンピックに中国の体操代表として出場し金メダルも獲得しています。現役当時は『体操王子』というニックネームだったとか。

オフィスに向かう途中、光华管理学院のMBA Officeの人に「今日は李宁に会えるの?」と聞いたら「香港にいるらしいから無理」というので、「いやぁ彼なら空飛んでこれるでしょ」と返しておきました(笑)

見学に行く前から僕はこの企業を知っていました。なぜかというと、そのロゴがNikeのロゴにそっくりなのと、キャッチコピーがadidasのぱくりなため(adidas:Nothing is impossible、李宁:Anything is possible)。商品の価格はNikeより若干安く設定されているようです。

オフィスは北京郊外で、北京大学からバスで1時間半ほどの距離です。北京首都空港からならたぶん1時間圏内でしょう。工場があるわけではなく、純粋にオフィス機能のみとのことですが、かなり広くてきれいなオフィスです。

驚いたことに、オフィスの1階部分はプール、バスケットボールコート、テニスコートなどになっています。さすがスポーツウェア専業。僕らが行った時間帯は就業時間中なので誰も使っていませんでしたが、お昼休みなどを利用して従業員達が楽しんでいるそうです。

中国国内企業ということで、Shanghai Field Tripを思い出しあまり期待していなかったのですが、良い意味で裏切られました。会議室のファシリティはこれまでの企業見学で1番良いです。東亜銀行とほぼ同じ感じですが、東亜銀行は香港企業なので国内の枠外ということで(^^;。

またプレゼンはマーケティング担当の方によるものでしたが、必要な情報を的確に、正しい英語で伝えてくれてこれまたビックリ。国外の売り上げが1%未満なのに英語でプレゼンできる人がいるとは思いませんでした。日本でも国内専業の会社で英語でちゃんとプレゼン出来る人はほとんどいないでしょう。英語が出来るから優秀、とは言いませんが、それなりの教育レベルの人材なのは確か。李宁は良い人材を採っているようです。

15分ほどのQAがあり、半分以上は中国人学生が中国語で聞いて、中国語で答えられたためにわかりませんでした。最後に韓国人留学生が国外戦略について英語で聞いてくれたのですが、詭弁のようですが面白い答えだったので書いてみます。


確かに現在海外からの売り上げは1%未満で、今後も徐々に海外進出を考えています。我々の主要マーケットは中国なのですが、実際は国際マーケットと言えるでしょう。なぜならあらゆる国外スポーツウェア企業が参入していて、その中で競争しているからです。現在我々は国内マーケットシェアで4位ほど、国際マーケットシェアで14位辺りですが、国内で1位を取れれば必然的に国際マーケットシェアでも10位以内に入ります。まずはそこを目指して、外国企業と競争を展開します。


焦って海外進出するより、国内マーケットを確実に取ってからでも十分、というのは自信と余裕がある証拠でもあるのでしょう。このプレゼンを聞いて余計に、まねっこからは卒業したらいいのに、と思いました。企業・ブランドの立ち上げ段階で外国のまねをするのは許容範囲としても、既に国内でも3位とか4位の地位につけているわけで、そろそろ独自のマーケティングキャンペーンにて、シェア拡大を狙う時期なのではないでしょうか。

こんなチャレンジングなことはさすがにQAで聞けませんでしたが(^^;。プレゼンの後はオフィス内を軽く見学して、建物内にあるアンテナショップへ。40%オフで売ってくれる、とのことでしたが、僕は何も買いませんでした。一緒に来ていた韓国人留学生(僕の同級生ではなく)に買わないの?と聞いたら「(Nikeの)フェイクっぽいから着ていて恥ずかしいからヤダ」とのこと...。率直すぎる感想でした。

ちなみに光华管理学院のFull-Timeの学生には入学時に光华管理学院のロゴ入りリュックパックが与えられるのですが、よくみたらこのバックにも李宁のマークが!今日気がつきました。クラスメートのHeewonに聞いたら「李宁が光华管理学院のEMBA卒で、スポンサーになっている」とのこと。なるほどー。だから今日の会社見学も李宁だったのね、と納得しました。