北京生活の総括 人々編

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人について見てみると、全体として我が我が、という感じで、譲り合うという意識は皆無です。日本で他者への思いやりなどは儒教の影響も大きいのではないかと思うのですが、その大本が儒教の精神を忘れてしまっているのは、非常に悲しいことです。

個人で見るとどうかというと、仲良くなった中国人達は街を闊歩している人たちとは大きく違い、僕と似たような価値観を持っている人が多かったです。友達に恵まれた、といえばそうなのですが、それ以外の理由として、知り合った人々は皆大学卒(それもトップスクールか海外の大学)であり、教養レベルも高い、というのがあるのでしょう。教育と精神的な成熟度にはある程度相関関係があるのでしょう。

差を上げればきりがないのですが、一人一人は愛すべき人々で、たまたま自分とは違う価値観を抱いているのだ、と思えば、大抵のことは気にならなくなります。これは中国に限らず、母国以外のどこかに住む時は通用する心構えなのではないでしょうか。

また北京にきて改めて香港や東京の良さがわかりました。人々のモラル感や公衆衛生の観念、他者への気遣いなど、都市文化の熟成度という点で、やはり香港や東京は抜きんでていると思います。

北京のみならず、中国がそこに追いつくにはまだまだ時間がかかるのでしょう。しかし、現在未熟なことを責め立てるのではなく、それを受け入れて、未熟な都市文化の中へどう入り込んでいくか、個人としても企業としても考えていく必要があると感じました。

北京に来て以来、好きか嫌いかをよく聞かれました。香港科技大学の後輩のMasaさんは北京よりも断然上海、と言っていましたが、僕は逆で北京の方が好きです。上海は良くも悪くも香港の劣化コピーだと思います。香港のビジネスモデルを真似て急成長していますが、本家を追い越すまでの勢いはありません。

本家の真似をしながらも、実は上海は東京に似ている気がします。上海はとにかく欧米に目を向けているのです。中国にも良い文化、モノ、サービスがあるのに、全体として欧米のモノを良として積極的に取り入れ、古いモノを壊していく。そんなイメージがあります。

香港は似て非なるところがあって、東洋と西洋のおいしいとこ取りをする傾向があります。柔軟なんですね。僕が香港に惹かれる理由は、東洋と西洋が絶妙なバランスでミックスされているところ。これをマネするのは非常に難しいのでしょうが、これこそが香港の強みの源泉でもあると思っています。

北京はオリンピックに合わせて一気に近代化を図りましたが、それでもまだまだ古い街並みがそこかしこに残り、ゆったりとした時間が流れています。またたくさんの文化財があり、見るべき所も多いです。ここに定住しろ、と言われたら正直考えてしまいますが、上海よりは北京の方が僕にとっては住みやすいのは間違いないです。