今日も引き続きリーダーシップ論から。その後、先日ご紹介した『Bottom of The Pyramid』の概念と社会起業家についての講義でした。
『Bottom of The Pyramid』は本当に目から鱗、という感じの好著だったので、日本語訳がなかったら僕が売り込んで翻訳しようかと思っていたのですが、あっさりAmazonで日本語訳を発見してしまいました…。しかも今回スカイライトコンサルティングから社費で参加されている日本人の方が翻訳に携わっていたそうです。びっくり。スカイライトコンサルティングってITコンサルだけかと思っていましたが、Whartonの『ウォートン経営戦略シリーズ』の翻訳もやっているんですねぇ。
また、このプロジェクトに関連しそうだということで、出目金魚さんから教えて頂いたのが以下のテレビ番組。
これ、まるっきり本に書かれているのを元にプロット書いてますけど…。映像で見るとそれなりにインパクトがありますが。
さて、本日のゲストスピーカーはHarvardのKennedy Schoolを出てVentures in Developmentという会社を立ち上げた、女性社会起業家Marie So。チベットなどに生息するヤクという野牛の毛などを使った製品を作って売り出しています。中国の貧困地域にて、適切な社会起業家を捜し、育て、継続して利益を生み出すまでのお話を聞かせてもらいました。貧困地域にいる人々の中から候補者を捜すため、やはり立ち上げ資金のところの苦労から、生産プロセスの質の維持など、様々な問題に直面し、一つ一つ解決しながら進めているとのこと。
午後はCSRについての講義があり、ゲストスピーカーでもCSRコンサルタントのGaby OetterlがCSRとは何か、世界で今CSRがどのような位置づけにあるのか、等話して下さいました。
日本でもCSR活動は企業において根付きつつあるようで、実際CSRに関する定期的なレポートを作っている企業数としてはイギリス、アメリカに続いて世界三位です。但し、僕自身感じていたしCSRコンサルタントも言っていましたが、真剣に社会に対する責任を考えて行動を起こしている企業は実はまだ一部で、多くの企業は横並び意識、もしくはトレンドだから、ということでやり始めたり、一種の広告・宣伝(企業のイメージアップ)と捉えている企業も少なくないようです。
アクションを起こす最初の一歩として、そういう捉え方も有りだとは思いますが、そこで止まっていてはだめで、その先、真摯に持続可能な社会作りに対してどう貢献していくか、を考える必要があると思いました。
あと一コマはビジネスリーダーが考えるべきビジネス倫理について。これは昨年の春頃MBAのクラスでもやったのでなじみのあるテーマです。単に賄賂はダメよね、とかそういうレベルではなく、例えば生産を委託した貧困地域の工場で実は子供を労働力として使っていて大問題になった、とかそういうケースを読み、どう対応するか、という話です。
企業としては利益をあげる重要性があるので、人件費含め固定費が低い地域での生産委託という選択肢は魅力的。しかし子供を労働力として使うのは企業が拠点を置いている開発先進国では御法度だし企業イメージもダウン。
ではその工場は使わないのか、というと、そうもいかないケース。他の工場に生産委託した場合のコストはどうなのか、という利益上の問題がまず第一点。それから例えその企業が契約を破棄してもその工場は他の会社と契約し、根本的な問題解決にならない可能性があること。また仕事が少ない貧困地域では子供が一家の大黒柱になっている可能性もあり、単純に子供を使ってはダメ、という開発先進国の倫理を当てはめてもダメな場合もありえます。
唯一絶対の答え、というものが無いため、利益へのインパクトを考慮に入れつつ、どう解決するか、ということを常に考え続ける必要があります。
今日は18時に終了。夜ご飯を日本人2名と香港科技大学の学部生1名、計4名で食べに行くことになりました。香港ローカルフードを食べてみたい、というので、銅鑼灣の大排檔にお連れすることにしました。皆さん気に入ってくれたので一安心。
その後デザートを食べに許留山へ。マンゴーのデザートを食べて解散。部屋についたら22時過ぎでした。