久しぶりの和僑会、起業家と企業人

今日は久しぶりに和僑会に参加してきました。珍しく香港人の起業家が英語でプレゼンしてくれました。普段はプレゼンターは日本人なんですけどね。

その起業家は、日本人はリスクを取らない、もっとリスク取って起業という道にチャレンジして欲しい、という話をして下さいました。

お話はなかなか楽しく聞けたし、日本人がリスクを取りたがらない、というのも激しく同意。しかしながら、「起業することは非常に素晴らしいことで、絶対やった方が良い」という意見には反論。

僕は昔から起業するかしないかというのは目的ではなく「手段」でしかない、と考えています。

起業するのも、企業内で働くのも、どちらにも長所と短所があるわけです。なので手段よりも重要なのはビジネスの目的。どんなビジネスをしたいのか、どういう結果を求めるのか。これが明確になり、それを達成するための手段として起業を選ぶべきか企業内で働くべきかが決まると思うのです。

起業を選んだほうが良い場合というのは、例えば固定費、初期投資が少なく、素早くその市場に入り、お客のニーズを素早くくみ取って製品・サービスに反映させていく(意志決定の敏捷性)、という場合。IT業界が典型的な例でしょう。

逆に企業の中で働く場合、モノ作りのビジネスは起業するよりもより良い手段たり得る可能性が高いでしょう。初期投資、固定資産が必要で、市場に独占プレイヤーがいない限りは先行者利益にこだわらなくても入っていける。企業内のヒト・モノ・カネというリソースを使っていったほうが、起業するよりも有利になり得ます。

「情熱的で、優れたアイディア、創造力を持ち、自分の製品・サービスをとことん愛せる人は起業が向いている」ということを言う人もいます。これらのケイパビリティって、別に起業家だけに求められるモノではないですよね。企業人にも当然求められるものだと思うんです。だから起業家と企業人で大きく違うケイパビリティというのも、本当は無いハズ。

ということで、よく聞かれる質問「起業に興味はありますか?」というのはそもそも質問設定がおかしい、というのが持論です。「自分のビジネスを成功させる手段として起業はあり得ますか?」が正しいでしょう。

なので、起業家というと、スゴイ、勇気がある、とか、とにかく褒められるパターンが多いですが、起業家だけじゃなくて、企業人たちだってがんばっている人も少なくないし、リスクを取る勇気がない人ばかりでもないんだよ、と思うのです。

ということを、今日のプレゼンを聞きながら再認識したのでした。