香港三大MBAの卒業後の進路

後輩のblogにて、掲題に関するトピックがありました。

日系企業の駐在員とグローバル化する世界に立ち向かう若者 [MBA]:MBA生が香港で四苦八苦しながらグローバル化を考える

その中で、香港三大MBAを卒業した日本人の進路として、以下の記載があります。

-ドメスティック育ちの(大学までに海外経験のない)日本人が
-日本以外の国で
-日系企業ではなく
-日系企業、日本人向けの商売でない

という条件を満たした日本人MBA生は香港にはまだいないと思う。この条件を満たした人がどんどん出てくるようになれば面白くなると思うね。

僕がツッコミコメント書いたので最後の一文は修正されてます。実際には条件を満たしている人がいる(それもHKUSTから2名)のですが、ここは香港のMBAに来る人にとっては非常に重要なポイントだと思います。

第1回MBA Forumの時にお見せしたスライドの中で、香港三大MBA(フルタイムのみ)の卒業生数及びその進路を纏めた資料があるのですが、そこでは

・過去14年間で入学した日本人の数、57名
・過去14年間で卒業後海外就職した日本人の数、10名

という事実をご紹介しました。若干漏れがあるかもしれませんが、大きな誤差はないはず。入学・卒業した絶対数が欧米のビジネススクールに較べれば圧倒的に少ないのはもちろんですが、海外就職出来た数もかなり少ないと思います。実際インターンを海外の非日系企業で行った人はもっといるのですが、卒業後の本採用では10名のみ。

また以下のスライドも紹介しました。

他国への留学(特にアメリカ)と較べた場合、IANGというWorking Permissionの存在は香港での就職の優位性を示しています。その反面、日本のMBA界隈でよく言われる「純ドメ」な方には厳しい就職事情があるのも事実。MBA Forumの後にも、香港大学MBAの方から掲題に関連した質問を受けていて、あるべき論の答えを考えていました。

「日本人」であることを強みとして活かす場合、それなりに就職口はあるものの、MBAを要求されるようなポジションは皆無で、給与も入社後のキャリアパスも魅力的なモノはほとんどありません。もちろんこういう状況は早晩変わっていき、日系企業も現地採用者を幹部登用していくことにはなると思いますが、それを待ってはいられないのも事実。

そうなると、「日本人」という部分を強みとして活かすこと無い就職口を目指すことになります。大きく分けると2つ。

1.中華系企業(含む香港・台湾企業)
2.欧米系企業

1に関して言えば普通話もしくは広東語が出来ないとそもそもCVも見て貰えないでしょう。2では普通話は出来るとプラスですが、出来なくてもまだ可能性はあります。但しここを目指す中国人・香港人との職の取り合いになるので、実際には普通話出来ない場合はそれに代わる強力な強み(過去の経験、学位、資格等)がないと厳しいでしょう。どちらもビジネスで英語が使える前提、TOEICなら900点以上、TOEFLなら100点以上でないとダメ。

どちらも「純ドメ」の日本人には相当ハードルが高いのが現実です。しかしそもそも香港のMBAに来ていなければ、香港含めた海外での就職自体がより一層難しいのもまた事実。特にMBAで香港来た人には香港におけるビザ問題は皆無なのだから、茨の道とはいえ、その道を選んで頑張って欲しいし、そういうチャレンジをする日本人の学生がもっと増えたら良いなと思います。