経済学の大家、ジョセフ・E・スティグリッツによるアメリカの不公平さ、そしてその解決方法を纏めた本です。邦題はミスリーディングですね。本書はアメリカの不公平さに絞って書かれています。原書のタイトルは『The Price of Inequality: How Today's Divided Society Endangers Our Future』。
簡単に言えば所得面や政治力といった面で上位1%の人間だけがより良い医療、教育、QOLを享受している一方、それらは全て99%の人達の犠牲で成り立っている、ということ。数字に若干誇張はあるとは思いますが、お金持ちが益々富み、中間~貧困層は世代間でも固定化されてしまう現状のアメリカの政治・経済の制度の問題点を鋭く、論理的に批判していて、説得力があります。
とはいえ、最後の章で語られる解決策というのはちょっと現実解ではないな、というのが僕の考え。間違っているわけではないのだけど、それらを実行出来る土壌がないから今アメリカの多くの人々が苦しんでいるわけで。もうちょっと現実的に実現可能な方策を示すべきではなかったのかな、とは思います。
世界の99%を貧困にする経済
posted with amazlet at 13.06.14
ジョセフ・E・スティグリッツ
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