劉青雲(ラウ・チンワン)、古天樂(ルイス・クー)、吳彥祖(ダニエル・ウー)、周迅(ジョウ・シュン)主演、その他に方中信(アレックス・フォン)、曾江(ケネス・ツァン)、葉璇(ミシェル・イェ)、黃磊、林嘉華、林家棟(ラム・ガートン)、吳孟達(ン・マンタ)、黃奕(クリスタル・ホァン)等出演。麥兆輝(アラン・マック)・莊文強(フェリックス・チョン)監督作品です。
以下のblogにあらすじと感想があります。
『窃听风云Ⅲ』Overheard 3(中国映画):ららぴっとのブログ:中国江蘇省南通市の生活
『竊聽風雲』、『竊聽風雲2』に続く三作目。またもや物語には何の繋がりも無く。ただ同じ主役を、香港の金融絡みの問題をテーマに描いた作品です。しかし三作の中で今回が一番人間くさくて面白く観れました。全二作が金融の中でも株などを使ったインサイダーのお話が中心だったのに対し、こちらは不動産の地上げだからかと思います。もっと泥臭い。
映画の冒頭でも説明があるのですが、本作品では香港に残る旧植民地時代の古い権利、『丁權』が関わってきます。1960年代後半から70年代前半にかけて、人口が増えて土地が足りなくなりつつあった香港において、香港政庁がほとんど手が着いていなかった新界(ニューテリトリー)を住宅開発用地にしようとしました。そこに、昔からそこに住んでいた香港人達が自分たちの権利を主張。その中で生まれたのが『新界小型屋宇政策』。18歳以上の男子のみに、一生に一度だけ3階建て、700sqを上限とした家屋を建てる権利を与えたのです。
道理で新界でちょっとMTRから離れた村には決まって同じような3階建ての住宅が並んでいるわけです。これらはみな『丁權』を行使して立てられた住宅なのです。
なので映画の冒頭での説明はフィクションではなく事実。そして昨今益々土地が足りなくなってきた香港において、『丁權』を買い集めて土地使用用途を政府にかけあって変更させ、高層マンションを建て始めています。実はつい最近も新界の東北エリアにおいてこの開発に対する地元住民の反対運動がニュースになっています。
本作品は香港で起きている社会のひずみを上手くエンターテイメント映画に消化させていますが、同時に中国国内での同様の現象も皮肉っているように深読みが出来ます。奥が深い映画です。非常に面白かったです。