『中国複合汚染の正体』読了

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元産経新聞記者で北京駐在経験のある福島香織さんの著書。2012年くらいから日本でも話題になっている北京を中心とした都市部における中国の環境問題について、現地を歩き回って纏めたレポです。

僕が北京にいた2008年秋、北京の空は澄み渡り、本当に素晴らしい交換留学生活を送ることが出来ました。そのため僕にとっては北京というのは非常に住みやすい街だったのですが、本書によればこれは2008年夏の北京オリンピックの影響であるとのこと。つまりオリンピックに向けて北京市内の工場を山東省など近隣の省に移動させたり、北京市内に入り込む車をナンバープレートの末尾(偶数・奇数)で規制したり、様々な方法で北京を清浄化した結果だったようです。

しかしそれも長く続かず。近隣に移した工場から出る汚染された空気や水が結局また北京に流れ込んできたり。また日本の1960~70年代の公害問題は原因が特定しやすく、解決も出来たけど、中国のそれは汚染源が複数あり、それがさらに複雑に関係し合って(紫外線等で変化)さらに汚染状況が悪くなっていること、また中国共産党による政治的な動き、中央政府と地方政府の駆け引きなどの人為的な要因により、当面複合汚染を解決するのは難しそうです。

あの美しかった北京の空、当分見れないというのは非常に悲しいです。

中国複合汚染の正体
中国複合汚染の正体
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福島 香織
扶桑社
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