MBAの卒業生と言うことで、HKUSTから『HKUST LAPP Forum on Democracy for Hong Kong』というフォーラムのお誘いを頂きました。昨年夏以降香港で旬な話題ですので、逃す手は有りません。土曜日朝9時半からという時間設定ですが、しっかり参加してきました。
会場には150人程度の参加者がいたでしょうか。日本人の方も領事館から数名来られていたようです。
基調講演はダートマス大学からProfessor John M. CAREYを招いて、『Democratic Principles and Electoral Systems: How Executives and Legislators are Elected』というお題でお話頂きました。
このお題は僕的には大ヒット。というのも今学んでいるCertificate in Legal StudyのModule 3は香港基本法で、丁度昨日の授業の内容が香港の行政長官及び立法会(それぞれ日本で言うと内閣総理大臣及び衆議院・参議院)の選出方法についてだったのです。Prof. CAREYが各国政体の選出方法についてわかりやすく纏めてくれて、非常に勉強になりました。
パネルディスカッションは『Democracy for Hong Kong』。本日のメインイベントです。
パネルの司会:Dr Vincent H.S. LO(羅康瑞、瑞安集団創業者)
パネリスト:
Prof John M Carey, Dartmouth College, American Academy of Arts and Sciences
Ms Audrey EU Yuet-mee(余若薇、公民党主席)
The Honourable LAM Woon-kwong(林煥光、前香港特別行政區行政長官辦公室主任)
Prof Dixon Ming SING, The Hong Kong University of Science and Technology
The Honourable Jasper TSANG Yok-sing(曾鈺成、香港立法會主席,民主建港聯盟前主席)
僕は無料で招待受けましたが、このパネリスト陣はスゴイ。有償でも良いくらい。そして思った通り、大きく2つに意見が分かれての大論争です。公民党及びHKUSTの教授は雨傘革命に触れながら、普通選挙実現無くして民主化無し、というスタンス。大実業家及び政府側の方々は「まずは現在ある仕組みの中で選挙を行い、それに勝ってから民主化を進めれば良い」という立場。
どちらも理があり、一方的に間違っているわけではないので、落としどころが難しい話。時間を30分ほどオーバーしつつも白熱した議論を繰り広げました、
また質疑応答で会場からも質問を募っていました。それらを通じて思ったのは、雨傘革命を支持する急進的民主化の人々は香港基本法をきちんと読んでいないか理解しておらず、感覚で話をしている人が多いなと思いました。もちろんパネリストの皆さんはそうではありませんが、一般の人は香港基本法をきちんと読んで理解している人はあまりいないのでしょうね。
また両派に言えるのですが、本問題の本質的な問題は、香港の民主化に始まり一般市民の生活まで、生殺与奪を握っている中国中央政府に対する信頼というのが香港人の中に薄い、もしくは無いというところにつきるのかなと思いました。中央政府が必要にして十分な信頼を多数の香港人から得られているのであれば、現在の枠組みでの民主化でも十分受け入れられる余地のあるモノだと思います。
信頼出来ない中央政府からの押しつけられた民主化だから、受け入れられない。これが一番大きく、また解決が難しい本質的な問題なんだろうなと思いました。
色々頭の整理が出来て非常に刺激的なフォーラムでした。