『第35屆香港電影金像奨』は色々すごかった

ようです...というのも富山の実家にいて、中継見れなかったから。香港映画界の良心が見えたような結果だったようです。

というのも、最佳電影(最優秀作品賞)に、インディーズのオムニバス作品である『十年』が選ばれたから!

広東語が分からない方のために、金像獎協会主席かつプレゼンターの爾冬陞(イー・トンシン)監督による受賞のコメントを日本語訳して下さった方がTwitterでアップしてましたので、ご本人の許可を得てここに転記します。kk勝手口さん、ありがとうございました。

【爾冬陞】
最も緊張するときがきました。言っときますが私は金像賞の主席になったから目立とうとして賞を渡しに出てきたんじゃないですからね。渡してくれるゲストを見つけられなかったんです。(会場笑)......分かるでしょ、ねえ?(会場笑、拍手)

こう思いました。皆さんを困らせるいわれはない。誰がやってもまずい。でしょ?万一、開けてみて、あの作品の名前があったら、「十十十十......」って、言えなくなっちゃうかもしれないのが心配ですからね。だから私が来たわけ。

チンワン(劉青雲)に発表させよう。だって司会だから問題無い。中性(中立)だ。

【劉青雲】
俺は問題ない。でも中性って何?男性だよ。(会場爆笑)見て分からないの?

【爾冬陞】
まあそういうわけで困らせたくなかったんです。

でも誰か上がってきて愛の手を差し伸べ(共襄善舉=「共に良き行いを完成させよう」。チャリティーの呼びかけ文句)たければ構いませんよ、誰かいませんか?

いない?いなければ映像を見ましょう。

【十年得獎片段】爾冬陞 : 「有個年輕編劇偷偷地問我,主席今年份稿可唔可以有《十年》呢兩個字?羅斯福總統講過,『我地最需要恐懼的是恐懼本身』」#金像獎無懼打壓抵讚#香港人要好好記住呢一刻

Posted by 啱Channel on Sunday, April 3, 2016

【爾冬陞】
あ、忘れてました。我々は6ヶ月前にはすでに今夜の台本の第一稿を書いていました。3ヶ月前にはゲストを探し始めていました。で先月起きたことは皆さん......分かってますよね。でしょ?

それで、ややこしくなったなあ、来年はこんなことがないといいなあと思っていますが...1つ話しておきたいんです。製作の過程で、チームの平スタッフの若い脚本家がこっそり私に聞きました。「主席、今回『十年』って言葉は出していいんでしょうか?」

私は言いました。「若いの、ルーズベルト大統領はこう言った。『我々が最も恐れる必要があるのは、恐れそのものだ』」。(会場拍手)

今年の最優秀作品賞受賞作は......

(カードを見せて)『十年』。(会場大歓声と拍手)

※改行等若干変えています。

本作品の受賞に関してはジャパナビりえさんも速攻blog更新されています。

香港金像奨2016の最佳電影!映画「十年」:ジャパナビりえ的香港TV道

本作品を選んだ香港映画界の英断、香港映画界の歴史に残る受賞だと思います。この受賞により大きく何かが変わるわけではないでしょうが、香港が、香港で有り続けるための1つのよりどころ的な出来事として語り継がれるでしょう。

また今年の受賞に関して一通りまとまっているblogはこちら。

第三十五屆香港電影金像獎、作品賞は『十年』に!:アジアンパラダイス

作品としては『踏血尋梅』が一人勝ち状態で7部門で受賞。昨年は出張多すぎてノミネートされた作品全てを見てはいないですが、この作品が一人勝ちというのは十分納得。郭富城(アーロン・クォック)が5回目のノミネートでとうとう影帝に。本人もさぞお喜びだと思います。

テレビの前で生中継で見たかった、そんな今年の香港電影金像奨でした。