編訳者の安田峰俊氏と顔伯鈞氏が初めて出会うのがタイなのだけど、先日の件を鑑みるに、顔氏の安全が気遣われます。
元々中央党校出身のエリート共産党員であった顔氏が、徐々に共産党から離れて民主化運動に身を投じ、その結果2万キロにも及ぶ逃亡の末、現在はタイに潜伏中とのこと。これを読むと現在の中国共産党幹部が以下に民主化運動を恐れているかということがわかりますし、一国二制度を無視した香港での民主化運動に対する直接的な働きかけも、根っこは同じなんだなと思いました。
確かに中国の民衆は必ずしも政治的な民主主義を求めているわけではなく、日々生活が豊かになるのならお上が共産党だろうが清朝だろうがなんでもいい、という事なんだと思います。これはこの巨大な大地で、言葉も習慣も違う人達を「1つの中国」としてまとめ上げていく事の難しさであり、現在の西欧諸国や日本の持つ民主主義では正直解決出来ないと思っています。民主主義がさらなる進化をしない限り、中国は共産党一党独裁以外の選択肢は難しいのでしょう。
それにしてもミャンマーと中国の国境沿いでは未だに軍閥がいるとは...19世紀末かっ、と思いましたが、これも現実なんでしょうね。
「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄 (文春新書)
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顔 伯鈞
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