元テレビ局勤務で、海外駐在も経験された著者が一念発起して早期退職、書いた小説がこちらです。
小説としての技巧にはまだまだ向上の余地があると思いますが、ご自身の経験や取材力を活かした内容で非常にリアリティがあり、面白く読めました。僕が最近読むのは純粋培養の小説家の小説よりも、ビジネスパーソンとして、特に海外での経験をお持ちの方が書いた政治経済小説が多くなっています。そういう小説家が増えたということもあるのでしょうが、全くの想像の産物よりも現実に起こりそうな話をケーススタディ的に読んでいるのだと思います。
ここ1,2年、日本でもようやく徐々に記事などになっていますが、個人的には2010年代位から中国は尖閣諸島の次を見据え始めていると思っていました。それはもちろん本書の中でも舞台になる、沖縄。距離的にも本土よりも中国や台湾に近く、本土とは違う言葉、文化を持っていた琉球王国は二元朝貢をしていたこともあり、中国にとって「次」と考えてもまったく不思議ではないのです。
そういう考えを持って本書を読むと、非常に深く考えさせられます。