『毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962』のあとがきにあった、香港で発刊された毛沢東批判本、とはこの本の原著。
原著者は中国共産党の御用達メディアである新華社の記者を務めていました。彼がその特権を使って中国内の檔案館の情報を元に書き上げた大著で、当然ながら中国本土では発禁処分。なので香港で発刊されており、今も中国本土への持ち込みは禁止です。
原書は上下巻になっていたそうですが、分量が多すぎるために日本語版はそのサマリー。とはいえ、大躍進による影響度の酷かったと思われ、かつアクセス出来た檔案館での情報を元に、どの町村でどれだけの人がどのようになくなったのか、どのような仕打ちを受けたのかというのを非常に細かく拾い上げて記載しています。全くのでたらめを書いているにしては描写が細かすぎるし、檔案館でそれだけの情報が今も尚残されているということなんでしょうか。
一般的に読むのをオススメする本ではありませんが、この大躍進の中で起こったことはその後の文化大革命の中で(悪い意味で)花開いていった、と考えられ、そういう意味で文化大革命だけを切り取って話をすべきではなく、毛沢東を中心とした権力闘争戦として大躍進、文化大革命を繋がった1つの出来事として捉えた方が良さそうです。
ちなみに本書を香港の古本屋に売りに行ったら、「最近中国人のお客様が増えてきて、中国関連図書の引き取りを控えてる」と言われ受取拒否...。まぁ原書が国内発禁処分、かつ本の表紙を見ただけで中国人でも大躍進計画批判本だと理解出来そうなので、しょうが無いです(^^;。