日本にいる人々にはあまり馴染みのない、劉暁波。詳細についてはWikiをご覧下さい。
08憲章という、現在の中華人民共和国憲法への民主派改正案をネットで発表、投獄され、11年の懲役刑を受けた政治犯、というのが中国での状況でした。元々1989年の第二次天安門事件の時学生達を説得して広場から学生達を逃がしたところから、中国での民主化運動のシンボルとして先頭に立って民主化を訴えてきた人物。
今年6月末に突如末期がんであることが発表され、刑務所外の病院へ搬送されたものの、諸外国からの申し出である海外での治療は中国共産党は一切認めず、本日搬送先の病院で亡くなったとのこと。詳細は黒色中国さんのblogに詳しいです。
日本にいる日本人に馴染みのない、と書いたものの、実は中国国内でも劉暁波はそれほど知名度が高いわけではありません。それは中国共産党が厳しい言論弾圧をしてきたこと、第二次天安門事件も中国現代史上「無かったこと」になっていること、また第二次天安門事件に関係した民主派の人々の多くが国外へ行ってしまった事等が原因かと思われます。
ノーベル平和賞受賞者が受賞も出来ず、投獄されたまま亡くなったケースは1935年のドイツまで遡らないと無いそうで、この21世紀の時代に時代錯誤な事をしている国が日本のすぐ側にあるということになります。またたった一人の民主派の人物の影響度に中国共産党がそれほどまでに怖がっている、という証左とも言えるかも知れません。習近平時代の中国は民主化からほど遠いようです。
個人的には今の中国において民主化がすぐ必要かというと、そうではないと思っています。中国共産党がいうように、中国には中国のやり方がある、というのは至極当然。中国人民にしてみれば、共産党だろうが民主政権だろうが、今日明日の飯を食わしてくれる政権であればそれでいい、という意識で4000年の歴史を持っているので...、13億人の人民をちゃんと食わしている中国共産党のやり方を今すぐ捨てるべきとは思わないのです。民主政権になると低くない確率で国内分裂、内戦が起こる可能性もあり、そうなった場合近隣諸国も対応に苦慮しそうだし。
だからといって民主派の闘志を弾圧し国家転覆罪で収監し、まともな治療を受けさせずに死なせてもよい、ということではありません。今回の対応は世界各国からの中国観へ影響しそうです。第二次天安門事件以来実は中国は変わっていない、ということに気がつき始めるという点で。
劉暁波氏のご冥福をお祈りいたします。