『ファミコンとその時代』読了

ファミコン発売30周年を記念して書かれたファミコンの軌跡、という内容だと思って買ってみました。任天堂の上村雅之開発部長が執筆者の一人だし、開発秘話的なものがたくさんあるのかと期待していたのですが、実は立命館大学で教授職についていらして、本書は学術書でした。

ファミコンが生まれる以前の、ICやLSIを使った玩具が出てくる歴史的背景から始まり、アタリショックの分析、そしてファミコンの歴史と続きます。内容がちょっとかたいので読みづらいのが正直なところですが、これまで知らなかった1970-1980年代の時代背景が分かり興味深い本でした。

せっかくここまで分析しているのだから、ファミコンと同時期に出ていた他社のゲーム機がなぜファミコンのようになれなかったのかについても掘り下げているともっといいと思うのですが。

具体的にはセガ。よく言われる彼等の敗因はセガがもともとゲームパブリッシャーとして良質のアーケードゲームを出していたので自前主義にこだわり、サードパーティを招き入れずにプラットフォームビジネスにできなかったという点。

本書ではファミコンの爆発的な人気の要因に、当初は意図していなかったもののプラットフォームビジネス化を挙げているので、競合他社との比較はあった方が説得力が増すなぁと思った次第。

ファミコンとその時代
上村 雅之 細井 浩一 中村 彰憲
エヌティティ出版
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