『Hit Refresh(ヒット・リフレッシュ)』読了

マイクロソフト3代目CEO、サティア・ナデラの著書。現役CEOによる著書というのは本人も書いているとおりめずらしいと思います。

前代のスティーブ・バルマーの時代まではマイクロソフトはIT業界の中でも強権をふるうならず者、というイメージが少なからずあり、また巨大帝国化したために様々な分野で出遅れ感がありました。それが著者がCEOになってから多方面での共生を成功させ(アップルやオープンソース界隈など)、マイクロソフトのイメージが大きく変わりました。さらにクラウドへ大きく舵を切り、製品のライセンス売り上げ偏重からサブスクリプションへ、OSもOfficeも変えることに成功。マイクロソフト再興に成功したといっても過言ではないでしょう。

その著者の半生記と、CEOとしてマイクロソフトの企業文化を変える事に注力していることを主に記載しています。インド系CEOはIT業界で増えてますが(IBMのアルビンド・クリシュナ、グーグルのサンダー・ピチャイ、アドビのシャンタヌ・ナラヤン等)、彼等はインドで生まれ、アメリカに大学等で移住した後、CEOまで上り詰めています。まさにアメリカンドリーム。

移民数では中国系も多いはずですが、大企業のトップという地位にいる中国系アメリカ人はあまり聞かないのはなぜなのか。『中国の産業スパイ網 世界の先進技術や軍事技術はこうして漁られている』では西欧諸国に留学したり移民した中国人は、技術や知識は西欧のものをとりいれるものの、思想などでは母国想いだそうで、そういう点でなかなかCレベルに器用されないのかな、と勘ぐったり。まぁそんなことを考えるより日本人でグローバル企業のCレベルが出てこない事を憂いた方がいいですかね...。