日産から社費でMITのMBA留学をしたものの、留学中に退職し、トップ投資銀行のゴールドマン・サックスへ転職した著者による、半生記です。
『ライアーズ・ポーカー』の著者もほぼ同時期の名門投資銀行のソロモン・ブラザーズでの話を書いていますが、マイケル・ルイスは債券部門、本書の著者はコーポレート・ファイナンス部門でM&Aと、異なる部門での話です。
目次を読むだけでわくわくする章立てをしていて、非常に上手い書き手だなと思いました。著者が関わった案件の中で特徴的なモノを選び、記載しています。これを読むと、華やかでMBAホルダー垂涎の的である投資銀行、IBDの仕事が、実際には毎日長時間労働で地味な作業を続けていき、その上澄みだけが華やか、ということも分かるかと思います。
出身が日産だからか、外資系経験者の他の本とは異なり、日本の経営者たちは、たたき上げでもサラリーマン社長でも、欧米の経営者に勝るとも劣らないと断言されているところが非常に大きく異なります。その理由も本書では1章使って書かれていますが、確かにそういう面もあるなと思いながら読み進めました。