1980年代から2008年金融危機あたりまでを対象に、主にムーディーズとS&Pを中心にした格付機関をテーマにした金融小説。
虚実入り交じっていて非常にリアリティあります。特に格付機関は名前を微妙に変えているけどすぐに分かる(笑)これを読むと、以前読んだ西川さんの回顧録はやはり良い一面のみ書かれているんだなぁと思ったり、サブプライムローン問題時、格付機関は投資銀行から良いように使われて見下されていたようでしたが、本小説ではCDS/CDOの危険性をなんとなくわかりつつも利益第一で突っ走ってしまったという書かれ方をしていたり。物事は多面的に調べないとダメだなぁと小説読みながら思いました。
なんにせよ、格付機関の出す格付けは基本的には債券に対するものであり、基本的には発行体そのものの信用ではないということが、一般には理解されていなくて、債券の格付けが低い=発行体が信用無し、みたいな捉え方をされるのは、格付機関のコミュニケーションが上手くいっていなかったためではないかなぁとも思いました。