『私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット: 中国の富・権力・腐敗・報復の内幕』読了

中国生まれ、香港育ちで米国の大学を出た、典型的な海亀族である著者が、1990年代から2000年代にかけての中国でのビジネスについて、回顧録をしたためたもの。

現在は英国在住で、元妻が公安に拉致られて4年以上ほぼ音信不通状態、という所から本書は始まります。著者にとって不利なことは書いていない印象ですが、それでも当時の中国の熱狂的な経済成長と、それを支えた中国共産党との結びつきについて、中国を知る人であればさもありなん、というお話の連続。ただ温家宝が家族のビジネスを殆ど知らなかったというのは眉唾ではありますが。

また2014年、そして2019年の香港デモについても、著者自身中国共産党に敵視されないよう、積極的に親政府・反デモ活動をしたと認めていますが、同時に香港を壊す意図は全くなく、自分や家族の安全、そしてビジネス継続性の観点でのみ行ったとも書いています。これは確かにそうなんでしょう。だからといって赦されるものではないとは思いますが。

今後この著者や息子が安全なまま一生を全うできるのか、そして拉致られた妻がどうなるのか、気になる話ではあります。