今月、日本に友人が一時帰国していたので、先月自分が一時帰国した際に買えなかった本を買ってきてくれるように頼みました。何冊かあったのですが、その中で最も読みたかったのが森達也著、光文社知恵の森文庫の「放送禁止歌」。著者の森達也さんはテレビ業界の人で、放送禁止歌をテーマにしたドキュメンタリー番組を制作した時の体験を元に本書を書いたとのこと。
表紙には「竹田の子守歌」の五線譜がデザインされています。この曲は「翼をください」などで有名な赤い鳥が歌った曲ですが、フォークソングファンの間では放送禁止となった幻の曲とされていました。私も、もちろんそう思っていましたし、そうなった理由も知っていました。だからテレビで聞けないのも、最近音楽の教科書から姿を消しているという話も、まぁ仕方ないんだろうと思いこんでいました。
ところが、多くの人々が信じていた放送禁止の理由は、実は実体のない思いこみだったということが、この本の中で明らかにされていきます。特に「竹田の子守歌」については、著者が実際に京都の竹田地区を訪れて、地元の関係者から話を聞くなど、かなり掘り下げた内容となっています。確かに少し前からNHKではしだのりひこが「イムジン河」を、高田渡も「生活の柄」を歌っていたので、放送禁止という概念に関する何かが変わっているんだろうなぁとは漠然と感じていましたが。
個人的には岡林信康の「チューリップのアップリケ」「くそくらえ節」「手紙」あたりの名曲がテレビで聞ける日が来てほしいと思うのですが。でも岡林はテレビに出ないだろうし、出ても昔の歌は歌わないだろうから、過去の録音か録画の放映だけになるんだろうな。それでも良いからやってくれないかなぁ。でも視聴率取れないか(爆)。
全体的に週刊誌の記事っぽい雰囲気(分かるかな〜)はありますが、テレビ制作の現場の方が書いた本ということで、良い悪いではなくて、まぁそれはそれでテレビ制作者的な視点と言えるのかもしれません。フォークソングファンは必見ですね。もちろん、そうでない人でも楽しめる内容ですし、本書がきっかけでフォークの道に足を踏み入れてくれることも期待しつつ、いろんな方にお薦めいたします。
ちなみに、いくら放送禁止という概念が実体のないものだとしても、つぼイノリオの曲などは場をわきまえて放送していただいた方が良いとは思いますけどね(爆)。
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